伊予鉄道は、バリアフリー基準に適合し環境性能に優れた新型の鉄道車両「7000系」を2025年2月から郊外電車に新たに導入し、老朽化した旧型車両を順次置き換えていきます。
デザイン一新「乗ってみたくなる未来型」
郊外電車では他社からの譲受車両や、中古車両から発生した台車や制御装置を使った車両による運用が続いていました。7000系は車体も足回りもすべて伊予鉄オリジナルの新たな設計で、これは1958年(昭和33年)に製造された600系(モハ601・602、すでに廃車)以来、実に67年ぶりの完全新製車両となります。
3両編成で長さ18mの片側3ドア車体という基本スペックを踏襲しながらも、これまでにない丸みを帯びた前面形状により「乗ってみたくなる未来型流線型のフォルム」が具現化されています。伊予鉄のコーポレートカラーであるオレンジ色のカラーリングにより愛媛らしさを表現しながらも、前面と側面に多く用いられた黒色とのコントラストにより引き締まった印象のデザインとなっています。
軽量ステンレス製車体が採用され、VVVF制御、回生ブレーキ、高効率な補助電源装置など、車両性能の向上により使用電力は旧車両700系に比べて約50%削減できます。車内照明や前照灯にはすべてLEDが使用されます。さらに、非化石電源を由来とする再生可能エネルギー100%、実質的にCO2フリーの電気を使用することで、脱炭素化に向けた環境に優しい車両であることをより明確にします。
(伊予鉄道郊外電車の新型車両7000系の導入スケジュール、主な仕様、旧車両との比較など詳細は下の図表を参照)
もと京王5000系の「700系」は廃車へ
車椅子スペースなどバリアフリー設備を備え、英語表記にも対応した液晶ディスプレイによる次駅案内表示機、英語車内アナウンスにより海外からのインバウンド観光客にも対応します。すべての扉上部にデジタルサイネージを導入して中吊り広告を廃止し、広々とした車内になることも発表されています。車両製造は近畿車輛(本社:大阪府東大阪市)が担当します。
7000系は横河原線・高浜線・郡中線の郊外全線で運用され、2025年2月に最初の2編成となる6両が営業運転を開始する予定です。2026年、2027年にも2編成(6両)ずつを追加投入し、3年間で合計6編成、18両を導入する計画です。
投資額は3年間合計で約39億円とのことですが、省エネ車両の新造に対して経費を最大1/2補助する環境省の国庫補助事業「鉄道事業等におけるネットワーク型低炭素化促進事業」を活用して費用負担を抑えます。
なお、郊外電車で運用中の最も古い車両は、京王帝都電鉄(現在の京王電鉄)5000系を譲り受けて改造した700系です。現在6編成が在籍していますが、7000系の導入に合わせて順次廃車されることが決まっています。